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by tsukushi--juku
土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

つくしっ子とつくしさん
 『つくしっ子とつくしさん』

 今回、佐々木友子さんと共著で『つくしっ子とつくしさん』(龍書房)を出版した。佐々木さんの発案で、自費出版と言うことで300冊発行したが、またたく間になくなって、もう手元に数冊しか残っていない。
 佐々木さんは65歳の土筆塾生。3年ほど前になるが、不思議な出会いだった。
 彼女の近くの文房具店主から、私の著書『子を思う』を借りて読んでくれたというのがきっかけらしい。佐々木さんから、突然電話をいただいて、訪ねて来てくれてたが、その後、長文のお手紙をいただいた。
 本の中では、佐々木さんが「まえがきに代えて」として、当時私が土筆通信に書いた文章を引用し「出会い」について詳しく書いている。少し長くなるが紹介してみたい。

  思いがけない出会い

 先日、突然電話をいただいた。全く面識のない方からだった。「近所のよく行く文房具店の主人にお借りした先生のご本を読んで、ひどく感動した。他の本も読みたくて出版社にも問い合わせたがもうないとのこと、もしお手元にあるようだったらお借りしたい」と言った内容の電話だった。
 文房具店というのは、塾で必要な文具を買っている店、本を出版した折、買っていただいたことがあったが、多分『子を思う』だった。その本を借りて読んだということのようだ。手元にあるから一度いらっしゃってくださいということで電話は切ったが、2・3日して訪ねてきてくれた。
 話していて分かったが、その方が勤務していたところで一緒だったという方が、土筆塾の卒業生の母親だった。ごく親しいおつきあいをしているという。塾生だった子どものこともよく知っているという。話も弾んだ。1時間半ほど話して、私の出版した本や小冊子を抱えて帰って行ったが、その方から長文のお手紙が届いた。今年職場を定年退職したというこの方の、残された人生に立ち向かう姿勢をつづった手紙を、私一人のものとしてとどめておくのは惜しい、そんな気がして土筆通信の場を借りて読者のみなさんにお伝えしたいと思う。(この方は東日本大震災で被害にあった陸前高田出身。)長文なので、多少省かせていただくが、お許し願いたい。

 「……お借りした2冊の本はそれぞれ数日おいて一気に読ませていただきました。中断するのが惜しくて…。S君の作文を最初に読んだ時には(*『生きる力と優しさと』の冒頭の記事の中の戸田(仮名)君(戸打君は本名宍戸出君。元、埼玉県労連事務局長)の作文、信じられず、涙がこぼれました。お母さんが土筆通信を拾って土筆塾を訪ねたのがきっかけとのこと、きっと神様が救ってくれたのでしょう。先生との出会いがなかったら彼の現在はなかったかも…。Sさん〈戸田君のお母さん〉とは職場の組合活動で知り合い、古い付き合いです。今でもたまに会ったり電話で話したりします。子どもは本来正義感が強く、優しい心を持っています。私の子どもの頃を思い出すとそうだったので…。大人になって白と黒の間にグレーゾーンというのがあると知り、時々何が良くて何が悪いのか判断に迷うことがあります。迷った時は世間の流れに惑わされずに大変でも自分に心地よい生き方を選ぶようにしています。
 私は昨年三月に、定年を迎えたら帰郷して実家のそばに買った土地に終の住居を建て、喫茶店をやるつもりで、実現寸前でした。ところがあの東日本大震災で、実家はあとかたもなくなり、何もかも流されてしまい、いつ帰れるとも知れません。関わってくれていた建築士さんは、当日消防団員として、海に近い国道で、避難者の誘導中に津波に流されて、帰らぬ人となりました。家ができて店を開いたら、来てくれると言っていたし、「一生のつき合いになる」と言われていました。たった一年半の付き合いで終わりました。当初私は「何さ、一生のつき合いと言っていたのにこのウソつき!」と亡き人をなじっていましたが、これが人の一生だったんですね。恋人がいると嬉しそうに写真を見せてくれたことありました。二月二十四日に母が急死したので葬儀のため帰省しました。そして三月三日にその人と会って、住居建築の最終打ち合わせをして、ランチを御馳走して、翌日契約書の写しを届けてくれたのが最期になりました。こうして書いていると涙がこぼれます。たった一人の死が一年半たった今でも悲しくて、悔しいです。といってもそんな人がいたから、何十・何百の命が助かったのかもしれません。
 それからの私は生きる張合いもなく、もうどうでもいいや、なんて投げやりになりましたが、四月のある日、元職場の利用者だった人のお母さんにさそわれて「9条の会」のコンサートに行きました。沢山の演奏を聴き、私の好きな「コンドルはとんでゆく」など心にしみる曲をいっぱい聴きました。……こうした交流があってその後も近場でコンサートがあれば聴きに行くようになりました。
 帰ろうとしていた実家がなくなり、帰郷をあきらめてこちらでのんびり暮らすのも一つの方法でしょう。でも、父母は亡くなっても姉妹がいる。甥や姪もいる。帰郷の思いは強いのです。今、帰郷する気になったのはこちらで出来た友人、知人を私の故郷に招きたい、と思うようになったからです。そしてこれらの人達に自然豊かな私の故郷を「第二の故郷」と思ってもらえたら嬉しいと考えるようになりました。震災後に、そんな新しい出会いが増えています。やはり私は帰郷して、予定通り、今度は実家を再建したいと考えています。
 そのためには新たな土地探しです。復興を待つつもりでいましたが、それではいつになるか分かりません。自分で動かないと先に進めませんので、一年ぶりに帰省します。
 今年までの3年間は私にとって最悪で、自分の命があるのが奇跡です。あまり遅くない時期に絶対帰郷しようと思っています。後半生の夢は喫茶、ギャラリー、教室をするつもりでした。今は赤ちゃんから高齢者まで憩える場を作りたい。子どもたちも放課後やってきて宿題をするとか、たとえ一人でも安心して過ごせる場を提供出来たらいいなって…。老後の私の人生設計、気楽にやることができたらと思っています。
 生まれたときから借間生活、中一の時やっと実家が建ちました。上京してからも社員寮やアパートなどを転々としました。六十一年生きてきて我が家と呼べる住まいにいられたのが二十五年。これからは自分なりに理想的な終の棲家を夢見ていました。土地を買うとなると資金が余分にかかる。建物を、涙をのんで縮小しなければならない。欲はかかず身の丈に合わせて、命ある限り夢を実現させるつもりです。先生、ギネスブックに載るくらい長生きして、遊びに来てください。先生よりも十七歳も若いのに、私の方が老けて見えると思いました。……こんな手紙を切りもなく書きました。土筆塾は今の子どもたちにとってはなくてはならない存在だと思います…。」

 かなり割愛させていただいたが、初対面の方からこのような長文のお手紙をいただいたのは珍しい。人にはそれぞれの歩みがあり、それぞれの人生がある。お手紙を読みながら私は私の人生を振り返る。私ももうそれほど長いことは生きられまい。残された人生の設計をしなければならないのだろう。生涯現役でいたいとは思う。だが何が起こるか分からないのだ。その日その日を悔いないように生きる。その積み重ねしかないのかもしれない。
 いろいろ考えさせられたお手紙だった。
 
 この後、何回か土筆塾を訪ねて来て、佐々木さんは土筆塾生になり、文章を書く勉強を始めた。
 今回の『つくしっ子とつくしさん』は、子どもたちの作文と、佐々木さんのエッセー、それに私の「卒業生その後」などをつづったエッセー、政治への発信などを収録したものだ。
# by tsukushi--juku | 2016-07-30 19:23
都知事の資格はない
  
          都知事の資格はないね、舛添さん

 出るわ、出るわ。政治資金で家族旅行、てんぷら、回転寿司代、車購入に似顔絵まんじゅう代まで。みんな政治活動だとさ。あきれてものも言えない。これじゃ、抜け穴だらけの「ザル法」=政治資金規正法でも救えまい。
 言いわけ説明に行き詰ると、自分が選んだ弁護士を「第三者」と称して調査するんだとさ。自分がやったことだろ。自分で調査・説明しろよ。
 あきれてものも言えない。恥ずかしくないのかい。
 おっと、笑って済ませることじゃない。怒ろうよ、みんな私たちが納めた税金だよ。
 都税を使っての「高額海外出張」、大名旅行だけかと思っていたらこの始末。とても都知事の資格はないね。潔く辞任しなよ。
 こんな男、担いだのは誰だっけ。自民党に公明党。これも私ら、忘れていないよ。
 
# by tsukushi--juku | 2016-05-25 18:05
えの実鉄砲
  「えのみ鉄砲」の季節になった

 「えのみ鉄砲」、榎の実を弾にした、シノダケで作る竹鉄砲のこと。私が子どもの頃遊んだ、結構楽しめた遊びだ。清瀬は榎が多い。今ごろの時季になるとびっしりと実をつける。シノダケもあちこちにある。散歩の途中でそれを見つけてから、この遊びを思い付いた。塾開設当初から、子どもたちの中に広めたが人気のある遊びになった。
 今でも近所の子どもたちにも作ってあげるから、かなりの鉄砲を作る。
 でも、今は子どもの数も少ないから、群れての撃ち合いはないが、子どもが多かった頃は走りまわっての撃ち合いが人気だった。当たってもさほど痛くはないが実のシブで服が汚れる。子どもたちはゴミ袋をかぶり、頭の部分と腕の部分に穴をあけて「武装」する。こうすれば、当たっても痛くないし服も汚れない。段ボールで楯を作った子どももいた。いろいろ工夫もあって、なかなか面白かった。今ではただ撃つだけだが、いい音がして弾が飛びだし、筒先からは「煙」が出るから結構楽しんでいる。
 私の方はシノダケや弾になる実を取りに走らなければならない。この時季、私は「雑草花粉症」と言うのにかかる。原っぱや、林を歩きまわるからかもしれない。目がかゆくなり、鼻水が出るが、子どもたちが欲しがるのだからまあ、よしとしなければならない。
 子どもたちには、自然に親しみながらのこうした手作りの遊びが必要だ。時代の流れだからゲーム機を使った遊びも結構だが、子ども時代は様々な遊びがあっていい。
 私はいつもそう思うから、季節季節の遊びを用意し、子どもたちと楽しむようにしている。まるで「ガキ大将」だ。
 えのみ鉄砲について書いた子どもたちの作文は多い。
 ひとつだけ、今、北海道で大工をしているNの作文を載せておく。
 
 えのみでっぽう(3年)

 今日、先生がえのみでっぽうをくれた。
それでうち合いをしようと先生に言ったのに、先生はだらしがないよ。
服が汚れるとか、当たるといたいからとかいって、ちっともやらない。
 ぼくは自分でおなかにあててみた。
なにがいたい!ありんこにかまれたようなもんだった。
# by tsukushi--juku | 2016-05-14 07:58
日本会議と安倍政治
 
           日本会議、怖い!

 最近、朝日新聞が「日本会議研究」の記事を3回にわたって、報道した。日本会議は「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を主導し、国会、地方議会に影響力を広げる一方、憲法改正を掲げて1000万署名なる運動を進めている。
 日本会議は「現在の憲法は『占領憲法』だ」として前文に伝統文化を書きこむこと、天皇を元首とすることなど、かつて戦争が侵略戦争であったことを否定し、自存・自衛の戦争だったと賛美する日本最大の右翼勢力だ。日本会議は国会に大きな影響力を持つ。『日本会議国会議員懇談会』があり2015年9月現在、281名の会員を持つ。うち256名が自民党議員、閣僚では4分の3がメンバーだ。安倍政権の憲法改正を強力に後押しし、自民党の「憲法改正案」の中身を強力にバックアップしている。戦争放棄を掲げた現行憲法9条を全面改定し。自衛隊を国防軍にし、緊急事態条項を加えて権力を安倍政権に集中、「有事」を口実に国家総動員体制をもくろむ。日本会議は強力なバックボーンだ。
 地方議会でも「憲法改正の早期実現を求める意見書」の採択を推し進める。すでに33都道府県議会、70%の地方議会で、意見書が採択されていると言う。「地方議会の議決を重ねることで、憲法改正の機運を高め、国会議員に対して発議を迫る。」彼らの作戦だ。
 安倍政権の狙う憲法改正の真意は、憲法前文の平和主義と9条。あれこれの部分ではない。
 安保保法制を強行して、憲法を踏みにじり、いよいよ明文改憲に踏み込んできた。戦争する国に向かっての大暴走と言わなければならない。もはや「前兆」などと言う段階ではない。
 7月の参議院選挙(衆参同時選挙になるかもしれない)は、天下分け目の大決戦と言っていい。
 「どうせ決まってしまうんだろう、なるようにしかならない。」「政治のことは難しくて分からない」「生活に追われて選挙どころではない」「自分の一票が役に立つとは思わない。」「関係ないよ」などなど、さまざまな声を聞く。そうして投票率は50%そこそこと言うことになるのだろうか。
 新聞などのアンケート調査を見ても、安倍政権の個々の政策、たとえば消費税10%への引き上げ、格差の拡大、子どもの貧困、最近クローズアップされている保育所に入れない人達の切実な声、沖縄、原発、高額な学費。どれ一つとっても安倍政権の政策を支持できない人の方が多い。それならば安倍政治には退場してもらうしかない。私たちの生活も日本の未来も政治によって決まる。関係ないでは済まされないことなのだ。政治はなるようにしかならない、ではない。間違いなく変えることができるし、変えなければならないのだ。
 新年度の出発に当たって一言書いておきたい。
# by tsukushi--juku | 2016-04-04 21:31
ひるむな!
             ひるむな高校生、
                   委縮するな先生!

 安倍政権文部科学省が、18歳選挙権実施を前にして、高校生の学校内外での政治活動を、禁止したり制限したりすることを容認する通知を出した。さらに、それを校則で定めることも容認した。憲法で保障された政治的権利を侵害し、主権者教育を抑圧するこの通知は早速現実のものとして現れた。
 愛媛県立全高校で、政治活動届け出を校則化した。「選挙運動や、政治活動への参加」を一週間前に届け出ると言うのだ。届け出なければ、校則違反として罰則を含むさまざまな不利益がついて回ることになるだろう。選挙権を認めながら、何たることか。しかもある校長は「職員会議で導入を決めた」という。許せないことだがこうした傾向は、さらに広がって行くだろう。
 今、「ティーンズ・ソウル」など高校生・若者の中に、安保法制廃止や脱原発の運動は大きく広がっている。憲法に保障された自らの政治的権利、主権者としての主張を掲げて、堂々と歩もう。先生たちよ、委縮してはならない。「教え子を再び戦場に送らない」。戦後教育の出発点を胸に、子どもたちの未来を担って、主権者教育を凍らせてはならない。
       ひるむな 高校生、        
            委縮するな 先生!
                               2016年3月20日            
# by tsukushi--juku | 2016-03-23 10:54