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by tsukushi--juku
土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

政治的中立ということ
   政治的中立という言葉

 安倍政権のもと「政治的中立」とか「政治的公平」といった言葉が目に付く。この言葉、いかにももっともらしく聞こえるが、国民の政権への批判をかわす、あるいは国民の批判する力を奪う有効な手段として、自民党政権が利用してきた言葉に思えてならない。「中立」とか「公平」の基準は何か、その判断は安倍・自民党政権の手に握られる。安倍政権の、憲法をないがしろに進められているさまざまな国策を批判することは「政治的中立」に反することになるのだ。安保法制=戦争法を批判することは中立に反し、立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻そうとする主張はすべて「政治的中立」に反し「政治的公平さを欠く」と言うことになる。
 それは最近の安倍政権の動き、それにおもねる地方公共団体などの動きを見ればよくわかることだ。 
 10月29日、文部科学省が全国の高校に対して高校生の政治活動に関する「通知」を出した。通知では、高校生は休日や放課後に政治活動はできるが「違法、もしくは暴力的になる恐れが高い場合は、制限したり禁止したりする」と言う条件をつけている。「違法」ということになれば安保法に反対するデモや集会、原発への賛否まで含まれかねない。「恐れ」を判断するのは校長だ。生徒会活動や部活動も、政治にかかわる活動は禁止される。何が政治的か、判断は学校側にあり最終的には校長にある。
 そして教師には「政治的中立」が厳しく要求され、罰則まで果すと言う。
 18歳からの選挙権を与えていながら、教師からも生徒からも「批判力を奪い」、政権の思うがままに、国民をコントロールしようとする極めて危険な内容だ。
 安倍政権が国民の多数の意見を無視し、大多数の憲法学者や、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官の反対を押し切って独裁的傾向を強め、暴走している時、意に従わない人々への排除をマスコミや教育にまで広げようとしていることを決して軽く見てはならない。
 「政治的中立」というもっともらしい言葉の裏にある権力の意図をしっかりと見抜いていきたい。
  
 
by tsukushi--juku | 2015-11-07 20:52