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by tsukushi--juku
土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

教育への介入

                      教育への介入

 千葉県柏市の市会議員がフェイスブックに次のような投稿をしていた。「柏の教科書展示会に行ってきました。・・・・歴史教科書は8社。育鵬社と自由社は「米英に宣戦布告した我が国は、この戦争を『自存自衛」の戦争としたうえで大東亜戦争と名付けました。」と書いてある。「南京大虐殺」と記述してあるのは清水書院のみ。後は記述もなかったり、南京事件という記述だったり。公民もげっぷが出るくらい安倍首相が登場していたり、じっくりとみると実に違いがある。ちなみに「実教出版」はありませんでした。『自存自衛の大東亜戦争』なんて子どもたちに教えてほしくないですね」
 『自存自衛』の戦争として、かつての太平洋戦争を美化し肯定する主張は、いわゆる靖国派と呼ばれる勢力のもの。「日本会議・国会議員懇談会」に所属す議員面々と同じだ。安倍首相もその立場に立つ。
 教科書検定で、育鵬社(自由社も同じ立場)のこうした教科書が合格し、教育現場で堂々と使用される。
 ところで、新聞報道によれば横浜市緑区の横浜市立中学校で、一年生の生徒に「自衛隊実弾演習の見学会への参加募集」の文書が配布されたという。横浜の公立中学校では、4年前から育鵬社の公民教科書を使用しているというが、配布された文書では「自衛隊は日本の防衛には不可欠」という教科書の記述を紹介し、この見学会を「日本国憲法の平和主義について学習する一環」と位置付け、「自衛隊や米軍について関心を持ち、平和を守るためにどのような方策がとられているのか意欲的に調べようとしているか」「自衛隊が平和を守る組織として充実している事実を理解しているか」など、生徒を評価する観点まで示しているという。見学は陸上自衛隊富士総合火力演習。戦車、ヘリコプター、火砲による実弾射撃を間近で見学するという。育鵬社や自由社の教科書がこうした教育実践と結びついた時…空恐ろしいと思うのは私だけだろうか。
 教科書検定による文部科学省の圧力はどんどん強められて、育鵬社のような教科書が検定に合格し、あちこちの公立の学校で使用されていくとしたら、教育もまた自民党政権の思うままに勧められるということになりかねない。
教科書問題だけではない、すでに道徳教育の教科化は勧められることになり、政権の意に沿う価値観が上からおしつけられることになりかねない。最近では自民党内で「教員の政治的中立」が叫ばれ始め「違反には罰則を」とまで言い出した。彼らが言う「政治的中立」とは何か。政権を批判することは、政治的中立を犯したと言うこと。政権を批判することは、「特定イデオロギー」ということになる。戦前、権力を批判する勢力をすべて「アカ」として弾圧したことを思い浮かべてもらいたい。
 今、マスメディアの、政権にたいする批判的な報道を規制・攻撃する動きが、自民党若手議員懇話会の勉強会と称して表面化し、大問題になっているが、マスコミ、教育を意のままにするもくろみは、安倍自民党政権にとって最重要課題ということになる。大学の文科系学部を減らそうと言う動きもこうした流れと軌をいつにする。
 だがこんなことを許すわけにはいかない。
 子育て中のお母さん、お父さん。子どもたちが戦前回帰の流れに引き込まれないように、しっかりと考え、声をあげていこう。
by tsukushi--juku | 2015-06-29 10:44