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by tsukushi--juku
土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

大雪
                  大雪と子どもたち
 
 今年は二度にわたって例年にないほどの大雪が降った。
大雪で思い出すことがある。まだ清瀬第五中学校が建設される前、この場所は広大な原っぱだった。塾からは二、三分の所。ある時大雪が降って原っぱは雪に覆われた。五年生の授業だったろうか。今は参議院予算委員会事務局に勤務するI君が、突然手を挙げて、「先生、雪合戦しよう」という。私が渋っていると、彼は立ちあがって「この中で雪合戦したい人」と叫ぶや、「はい、はい、はい」と自分で大声を上げ両手を突き上げた。つられてみんなが手を挙げて、とうとう雪合戦をやることになってしまったのだ。当時の五年生一〇数人いただろうか、みんな一斉に外に出て原っぱに向かった。雪は真っ白、さらさら雪だった。二手に分かれて入り乱れての雪合戦になった。もちろん私も加わった。さらさら雪だからなかなか雪玉にならない。雪をすくうようにしてかけ合った。一時間はあっという間に過ぎた。みんなまだ続けたいふうだったが、教室に戻った。実に楽しい思い出だった。
このころの子どもたちは実によく遊んだ。この子どもたちが中学を卒業する時書き残して行った作文をひとつだけ紹介してみたい。
 先の雪合戦を扇動(?)したI君。小学四年、塾誕生とともに入塾した第一期生。中三までを塾で過ごし、都立武蔵高校から、東大法学部を卒業して現在参議院予算委員会事務局勤務という足取りをたどる。拙著にもたびたび登場した。彼の作文だ。

ベーゴマに熱中したころ            (中三 F・I)

 土筆はぼくが4年生の時にできた。その頃は授業が始まるずいぶん前に塾へ行って授業の始まるのを待っていた。自分たちの前に授業のない時は、先生と一緒に遊んだ。ビーダマやベーゴマ、キャッチボール…。現在、5中の建っている辺りは原っぱだったので、そこで遊んだりもした。
授業では、作文の授業がとても楽しみだった。この授業の時は、よく教室を飛び出して林へ行き、えのきの実てっぽうの材料をとったり、竹笛を作ったり、木の股でパチンコを作ったりしたからだ。もちろんそのことは次の週の作文に書くのだが、楽しかった後はよく書けたものだ。
土筆で忘れられないのは、なんといっても僕にとってはベーゴマだ。あれは面白かった。僕が小学五,六年の頃だ。ベーゴマに熱中していたのは。あれはひもを巻けるようになるまでが一苦労だった。最初こぶを引っ掛けてひと巻したところを中心に巻いていくのだが最初が肝心だった。ひもが巻けるようになっても、なかなか回せない。軽く投げるようにしながら、すばやく引く。その引きのタイミングが肝心で、回らないたびに「引きが弱い!」と土屋先生に言われたものだった。
回るようになっても〝引き〟のタイミングが肝心で、ポリバケツの上にゴザ(またはシート)をのせた「床」の上で回すのだが、それがうまく乗るかどうかもその引きのタイミング次第だった。こうして床の上で回せるようになるとやっと勝負ができる。三人次々に「床」の上にベーゴマをのせはじかれて外へ飛び出した方が負けだ。先生のベーゴマはうなりをあげて回っていてぶつかると火花をだしてはじき飛ばした。たいていは先生が勝った。そんな時、先生は僕たちに「昔とった杵柄だよ」と笑いながらおっしゃった。若さが光っていた。先生に勝つまでは、と暗くなるまで続けたこともあった。中学になってからは、授業が遅い時間になったのでなんとなくやらなくなってしまった。最近では土筆でベーゴマはやられていないらしい。しかし、土筆は、いつまでも生徒が気軽に遊べる、そういうところのある塾であってほしいと僕は思っている。

 今回の大雪。2,3の子どもたちは雪を投げ合ってはいたが、私を含めてかつてのような雪合戦はなかった。子どもが少なくなったということもあるし、雪合戦をする場所もなくなったということもある。残念なことである。

 
by tsukushi--juku | 2014-02-25 07:31