土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

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私の故郷
              私の故郷・限界集落
                        

 私の故郷は、現在では下田市下大沢。私の子どもの頃は、静岡県賀茂郡稲生沢村下大沢で、温泉で知られた「蓮台寺」から3,40分ほど登った山の上の、36戸の集落だった。2010年に103歳で亡くなったおふくろが90歳前後に詠んだ短歌に、

老人の住む家多し近所なり幼児の声に聞き耳を立つ

というのがあるが、もうその頃から、ほぼ限界集落に近かった。また、おふくろが詠んだ俳句に、

 イノシシの足跡残す芋畑

というのもあるように、当時からイノシシが出没し、畑や竹林のタケノコをあさりまくる「イノシシ天国」だった。
 現在はさらに、「限界集落」は進行し、イノシシ、シカ、サルが人家の近くまで出没する。家数も20数戸ほどに減り、子どもは全くいない。60代が最も若いという老人だけの集落になっている。(*もっとも、今は集落に登る途中に何軒かの家がたち、山の上の集落にも空家を買い求めて移り住んでいる、若い夫婦がいるが)私などたまに帰っても、こちらから訪ねて行かない限り、人に出会うこともない。
 それでも私はこの集落が好きだ。18歳で高校を卒業するまで、ここで生まれ育った、懐かしい、懐かしい故郷だ。おそらくどんな人でも生まれ育った故郷は、たとえどんなに不便で貧しくても、懐かしく思わない人はいないだろう。
 故郷を思い浮かべる時、私は思う。「東日本大震災」で故郷を追われた人達、とりわけ福島原発事故のため故郷を追われ、帰ることもできなくなった人達を思う。その地で生まれ育ち、何十年もその地で生きてきた人たちの無念さを思う。仮設住宅の入居期限は3月末まで。「住宅支援打ち切り」を新聞紙上で目にする。対象者は約一万世帯(約26000人)という。「自宅に住めないのは私たちのせいじゃない」故郷を追われ、住むところを奪われる人たちの声が痛々しい。また福島を追われ、やむなく移り住んだ地で、子どもへの「いじめ」が報道もされた。残念でならない。
「限界集落」になったとはいえ、故郷を懐かしく思う時、福島の原発事故に追われた人達を忘れてはならないと思う。(土筆通信111425号の一部)
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by tsukushi--juku | 2017-02-25 12:12 | Comments(0)