土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

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映画『少年H』上映に関連して
 映画『少年H』上映に関連して

 映画『少年H』が上映されている。妹尾河童さんの本『少年H』(上・下)の映画化だ。本、『少年H』は、その、いくつかの部分を塾でも教材として使わせてもらったし、卒業生の中には在塾中、何人もの子どもたちが読んでもいる。2003年度の中学2年の国語の教科書〈三省堂〉にも、妹尾さんの「『少年H』で伝えたかっとこと」という文章と共に「焼け跡」という部分が取り上げられている。今回の映画としての上映、ぜひ観たいと思っているが、映画上映に関連して少し書いてみたい。
 私は、教師時代を含めて12年間、神戸に住んでいたので『少年H』の舞台となった地域はよく知っているし、妻の生まれ育った地域も『少年H』の舞台と隣接していたので、そういう意味では地元でもある。さらに、現在同居している92歳になる義母は、神戸大空襲の戦火の中、1歳になったばかりの妻を背負って逃げ回った経験も持つ。その折に受けた傷跡が今も腕に残っている。何としても見たい映画である。
 話が私的なことにそれたが、本題に入ろう。
 妹尾さんは教科書の「『少年H』で伝えたかったこと」の中で次のように書いている。
「〝戦争〟を考えるとき、まず知ってほしいのは、いきなり砲弾が飛んでくる状況から始まるわけではないということだ。どんな戦争でも、はじまる前にどこかできしむ音がしたり、小石がパラパラと落ちてくる状態がある。″あれが戦争が始まる前兆だったんだ〝と知るのはずっと後になってからだ。だから、感じ取れないくらいかすかな気配から、異変が起こることを予感し、防がないと大変なことになる。がけが崩れ巨大な岩が落下する状態になってからでは、もうどうすることもできない。」
 戦争は「するぞ、するぞ」と言って始まるのではないのだ。様々な形で、巧妙に張りめぐらされた「前兆」がある。何が「前兆」なのか、それを見抜く力が、今私たちに強く求められているのではあるまいか。
 憲法9条を変えようとする動き、憲法改悪の発議要件となる憲法96条を緩和しようとする動き、ナチス政権を引き合いに「手口を学んだらどうか」などといった麻生副総理の発言、麻生氏が発言を撤回したことで幕引きをしようとしている安倍政権の動き、集団的自衛権行使を狙う、内閣法制局長官の交代、戦前、戦中、軍国主義の精神的支柱であり、加えて戦争犯罪人を合祀している靖国神社への、閣僚を含む100名を超える議員の参拝、安倍政権の歴史認識と一連の右傾化の動き。マンガ『はだしのゲン』閲覧制限を巡る一連の流れも含めて、戦争へ突き進む「前兆」と言えるのではないだろうか。もはや「小石がパラパラと落ちてくる」段階をはるかに超え、一気に地滑りが起こりそうな異常な段階にさしかかっている。そう言っても言い過ぎではあるまい。しかも今度の戦争は、アメリカへの手助けという形の海外での戦争だ。
 「異変」を予感し、それを防ぐために声を上げること、それが強く求められている。私はそう思っている。
 先の参議院選挙で「大勝」したからと言って、安倍政権の右傾化と暴走を、私たちは認めたわけではない。
 その思いを強くする意味でも、映画『少年H』はぜひ観たいと思う。(土筆通信NO,1243号の一部)
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by tsukushi--juku | 2013-08-30 21:51 | Comments(0)
夏休みの土筆通信
 例年夏休みの数日間は伊豆大島で過ごしてきたが、事情があって今年は大島に行けなかった。11日から19日までの家での夏休み。と言って猛暑の夏、何をする気も起らなかったから、趣味の卓球三昧。一週間、ほぼ毎日大汗をかいた。
 ただ、書き留めておきたいことはいろいろあった。一つだけ書いておく。

「はだしのゲン」閲覧制限をめぐって

松江市の小中学校で、マンガ『はだしのゲン』(中沢啓二さんの代表作)が閲覧制限になった、という新聞報道があった。市教委によると、旧日本軍がアジアの人々の首を切り落としたり銃剣術の的にしたりする「暴力場面が過激で不適切」として、校長会で全巻を書庫などに納める「閉架図書」にするよう指示したのだという。新聞報道によると、発端は昨年8月、「ありもしない日本軍の蛮行が描かれており、子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」として撤去を求める陳情があったことのようだ。市議会は全会一致で陳情を不採択にしたが市教育委員会の判断で「閉架」を決めたという。
 マンガ『はだしのゲン』は全国的に知られたベストセラーのマンガで、土筆塾の子どもたちにもよく読まれている。塾にある分も沢山の子どもたちに読まれ、今ではボロボロになってしまっているほどだ。
 中沢さんは新座市に住んでいたし、清瀬でも講演したこともあって、私も講演会には出かけていた。中沢さんの妻ミサヨさんによると、彼は生前「戦争や原爆を食い止めるためには、子どもたちにも、残酷でもその悲惨さを伝えるしかない」ゲンは子ども向けに表現を和らげたが、実際の惨酷さはあんなもんじゃない」と語っていたという。
 「ありもしない日本軍の蛮行」などという人たちの主張は、「南京大虐殺は虚構だ」などと主張している人達とも共通し、日本軍国主義の侵略戦争を否定し、あの戦争を正義の戦争と叫ぶ人達と同じ立場に立つ。安倍自民党政権の立場もこれと同じくする。靖国神社に参拝した100名を超える自民、民主、維新の会、みんなの党など国会議員たちの主張とも共通する、最近とみに勢いを増してきた右翼的潮流の一環と考えていい。
 『はだしのゲン』閲覧制限が報道されたと同じ日の朝日新聞に「強盗、殺人…軍命でも私は実行犯」と題するある軍人の語った言葉が掲載されている。その方はルソン島のある村で自らが犯した体験を次のように述べている。教会から出てきた老女を、上官が銃剣で突くよう命じた。「しょうがない。グズッと胸を突いたら血がバーっと出てね。空をつかんでその人は倒れました。」別の村では残っていた子連れの女性を襲った。「強盗、強姦、殺人、放火。軍命であっても私は実行犯」。こうした証言は韓国でも中国でも、あの侵略戦争の中で日本軍がアジアの人々に行った蛮行は覆いがたい歴史的事実だ。どんなにつらくても過去の事実から目をそらさず、厳しい反省と、アジアの人々への謝罪を踏まえて私たちはこれからを歩まねばならない。
 ところが、安倍自民党政権の方向はそれとは全く逆だ。
 安倍自民党政権の狙う方向は、書き連ねればきりがないほどだが、恐らくこうした歴史の逆行に励まされて右翼的潮流は、政治、経済、文化、教育などなど、あらゆる分野で強まるだろう。
 先の参議院選挙で、国民はその安倍自民党政権を支持し、自民党の「大勝」を許した。だが、安倍政権のすべての政策に賛成したということではあるまい。国民とのねじれ、矛盾は間違いなく拡大していくだろう。私はこの夏、珍しく暑中お見舞いのはがきを数十枚書いた。その中で「多数を手にした自民党政権は、次々と、危険な方向に向かって暴走を始めています。私たち庶民との矛盾は一層拡大していくでしょう。のんびりとしていられない状況が進行しています。危険を察知し、声を上げることが強く求められる昨今です。幸い私は元気ですから、もうひと踏ん張りできそうです。…」と書いた。
 子どもたちの未来に、たとえささやかでも貢献できる人生を送りたい。

*『はだしのゲン』 
 中沢啓二さんが、自らの被爆体験をもとに描いた自伝的作品。中沢さんは6歳の時被爆、父や姉、弟妹を亡くした。
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by tsukushi--juku | 2013-08-18 18:10 | Comments(0)
残暑お見舞い
  お元気ですか
記録的な猛暑の日々、いかがお過ごしですか。
 私も今年の夏はどこにも行かず、自宅で過ごしています。10日までは、
中3の夏季講習があり、11日から19日まで私の夏休みですが、例年出
かけていた大島も今年は取りやめ、自宅でのんびりしています。
 参議院選挙ではお世話になりました。おかげで支持する政党も大きく躍
進しました。しかし、一方では自民党が大勝し、多数を手にした自民党政
権は次々と危険な方向に向かって暴走を始めています。庶民との矛盾は一
層拡大していくでしょう。のんびりとしていられない状況が進行していま
す。危険を察知し、声を上げることが強く求められる昨今です。
 幸い私は元気ですから、もうひとふんばりできそうです。
 猛暑を乗り切って、お元気でお過ごしください。
        2013年8月          土屋春雄
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by tsukushi--juku | 2013-08-15 20:54 | Comments(0)