土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

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先生、桑の葉ある?
   
先生桑の葉ある?



三年生の授業をやっていると、自宅の方の玄関のチャイムが鳴った。授業に集中している時はチャイムが鳴っても出ないことにしているのだが、その時はちょうどきりがよかったので玄関に出た。ドアを開けると四年生のKちゃんが立っていた。手にカイコ(蚕)の入った箱を持っている。
「どうした?」
「先生桑の葉ある?」
「えっ?」
と私は一瞬びっくりしたが、すぐ事情が呑み込めた。
「今、家にはないよ。授業が終わったら、後で摘んできて届けてやるよ」
「うん!」
Kちゃんは声を弾ませて答えると走って帰って行った。
 その日、小学生に授業は五時四十分に終わった。六時からは中学生の授業だ。本当は小学生の授業は五時半に終わるのだがこの日はちょっと長びいた。桑の葉は、自転車で五分もかからないところにあることは、日ごろ近辺をくまなくあるいているからよく知っている。桑の葉を摘んで、今度はKちゃんの家へ直行する。玄関へ出てきたKちゃんは、「ありがとう」とニッコリする。その顔が輝いている。お母さんが玄関に出てこられたが、話している暇はない。あいさつもそこそこにまた大急ぎで塾へ戻る。六時五分前。
 わたしの居住している校区の清瀬第十小学校では、毎年四年生がカイコを飼う。それぞれのクラスで飼うのだが、土曜日から日曜日にかけて、また、学校が休みになる前には、それぞれカイコを家に持ち帰る。去年も近所の子どもに桑の葉のある場所を尋ねられた。
 こうしたことがあるたびに、私は“地域で塾をやっているっていいなぁ”と思う。これが駅前かどこかの貸しビルで、時間から時間までしか付き合えないとしたら、何とつまらないことだろう。
 教育は単なる知識の詰め込みではない。子どもの生活の様々な面でかかわりを持ちながら、人間と人間のふれあいやその中で作りだされる信頼関係を土台に、子どもの内面に働きかけながら「人間としての豊かさ」を作り出すこと、それが欠くことのできない教育の中身なのだとわたしは思っているが、そのためにこそ、地域に根を下ろすことが大切なのだと思う。Kちゃんではないが何時でも子どもたちが学校の帰りや遊びのついでに「先生!」と立ち寄れるような関係が必要なのだ。(拙著・「学び創り遊ぶ」毎日新聞社刊より)
(6月14日・土筆通信1196の一部)
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by tsukushi--juku | 2012-06-17 15:36 | Comments(0)
原発再稼働に突っ走る
   原発再開に走る野田内閣

原発再開に向けて野田内閣が突っ走り始めている。福井県大飯原発再開に向けての動きが急ピッチだ。最近まで再開に批判的だった大阪橋下市長や滋賀県知事も、再開賛成の立場に転向した。地元町長、議会なども賛成、福井県知事もやがて容認ということになりそうだ。国民世論に背を向けたこれらの動きは、国民世論の厳しい反撃にあうだろう。
 あれこれ詳しいことを書くつもりはない。
 マスコミは国民の脱原発の運動の広がり、高まりをあまり報道しないが、日本全国津々浦々、反原発、原発再稼働反対の声は広がり、高まっている。5月の連休中、作家大江健三郎さん、瀬戸内寂聴さん、音楽家坂本龍一さんなど9氏の「さようなら原発10万人集会」への呼びかけ文が発表されたのも大きな流れの一つだ。呼びかけは7月16日、東京代々木公園で集会を行うというものだ。
 呼びかけ文の内容を紹介しておく。
   省略

   国民世論に逆行し続ける野田政権

 最近の政局を見ていると、消費税増税は既定の事実であるかのような動きが、これまた急ピッチだ。マスコミもあげて、というのだから、その流れは避けられないかのような世論作りが進んでいく。これも国民世論と逆行している。このことについてもあれこれ書くつもりはない。ただ、6月1日の朝日新聞を見て驚いた。東京電力が電気料金の値上げを申請してから、批判の声が急速に高まっている折、値上げが妥当かどうかを審査する経済産業省が、東電が値上げを申請する前の4月に、すでに値上げ許可を前提にしたシナリオを作成していたというのだ。朝日新聞は「値上げが妥当かどうかを審査する経産省が、東電の申請前から、値上げを延期したうえで認可するという『出来レース』を組み立てていた可能性があり、審査体制が適正かどうかが問われている」と書いている。値上げのシナリオは出来上がっているのだ。値上げ申請を審査する「有識者による電気料金審査専門委員会」なるものがどんな審査をするかは見ものだが「お手盛り」のシナリオが幅を利かすこともあるのではないか。このことだけは書いておく。
 もうひとつ。これは「しんぶん赤旗」の6月1日の報道だが、財務省が広報活動の一環ということで、各地の大学で『消費税増税講義』を行っているというのだ。国立大学6校、公立大学2校、私立大学2校。4・5月で、10校で12回行われたという。財務省が大学に持ちかけて正規の講義の時間を使って消費税増税の必要性を訴える講義をしているというのだ。講師は財務省が派遣した幹部職員。教育という公共の場を使って一方的に行うこうした消費税増税不可欠というPRが、なりふり構わず行われることそのものが、野田民主党政権の国民に逆行する行為であることは明らかだが、何が何でも消費税増税をという焦りでもあるだろう。
 何をやるか分からない、最近の政局の動きは原発や消費税に限らず、あらゆる分野にわたっている。私たちが日々の生活に追われて見過ごしていると、とんでもない方向に運ばれてしまう、そんな雲行きだ。批判の眼を曇らせてはならないだろう。(6月2日・土筆通信1195の一部)
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by tsukushi--juku | 2012-06-17 15:32 | Comments(0)