土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

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竹とんぼ
 竹とんぼのことなど

4月の初め田舎へ帰った折、竹とんぼ用の竹を持ち帰った。本当は、竹は冬の間に切ったものがいいのだが、冬は帰らないのだからやむを得ない。春先の竹は水分が多く削るのは楽だが、乾燥すると羽がそってきたり心棒がゆるくなったりするのだ。
 ぜいたくは言えない。とにかく持ち帰った竹があるだけ作ることにした。竹とんぼは心棒がついたままのいわゆる普通のものと、心棒を離れて羽だけ飛んでいく「羽とんぼ」と呼んでいるのがある。この2種類を何本も作った。私はいちいち定規を使って測るようことはしない。指先を定規代わりにナイフで測る。羽を削るのも5分もかからない。それでも実によく飛ぶ。我が家には「竹とんぼ協会」のメンバー、プロといわれる人が作った竹とんぼもあるが、私の作ったものの方がよく飛ぶ。子どものころから作っていたから経験がものを言うのかもしれない。とにかくどの子にも行きわたる本数の竹とんぼ、羽とんぼを作った。子どもたちは飛ばしていてすぐなくすから、一人に何本も作らなければならない。飛ばし方も最初はうまくいかない。掌にはさんで、押し出すようにすればいいのだが、押し出すときにすぐに離してしまう。何回かやっているうちにコツがわかって、そのうちけっこう上手に飛ばすようになった。
 竹とんぼは左利きと右利きでは羽の角度が違うから、羽の削り方が違う。左利きの子は左手を前に突き出して飛ばす。右利きは右手を前にだ。間違えると手前にとんでくるから顔にあたって怪我をすることがある。
 今、6年生の子どもたちは、授業の前や授業が終わってから、わずかの時間を見つけて外で飛ばしっこに興じている。こうした遊びはいい。
5月になるとエノキの木に実がつくから今度はシノダケを使った竹鉄砲遊びだ。自然と親しみながら手作りの遊具で遊ぶ、大いに奨励したい。
 春は自然に親しむ季節でもある。タンポポの茎でならす笛でもいい。今の子どもたちはほとんどしないが花の蜜を吸ってみるのもいい。あてのない遠足の折は、道々草花の名前を覚えながら歩くのもいい。もちろん山菜を覚え摘み、帰ってからそれを食卓に載せて味わうのもいい。
 私は16日一人であてのない遠足の下見に出かけた。雨のあとで少々足場が悪かったが、ハイキングコースを外れた、人一人通らない林道、それをさらに分け入った道のない山の急斜面を上り下りして、シドケやヤマウドのありかを確認してあるいた。携帯の歩数計では17690歩あるいたことになる。
 さて竹とんぼの話に戻る。
 子どもたちが作文に竹とんぼのことを書いている。紹介してみたい。

   竹とんぼ                6年 

 今日つくしじゅくに来ると、先生が外で竹とんぼを作っていた。そしてぼくに気がつくと二本の竹とんぼをくれた。一本がふつうの竹とんぼで一本が羽とんぼだ。
 さっそく竹とんぼを飛ばしてみたがうまくいかない。二,三回やってやっとうまく飛んだ。次に羽とんぼを飛ばしてみたら一回でうまくいった。ブーンと音がして高く飛んだ。
 何回かやっていたら小宮君や、浜田君村山君が来たから、浜田君と村山君で、どこまで飛ぶかで勝負した。力の関係かどうかは分からないが村山君がとても強かった。もっと練習しないといけないと思った。この作文を書いた後にも、村山君たちと勝負しようと思う。
 家でも練習してもっとうまくなりたい。

  竹とんぼ                  6年 

 ぼくは先生に竹とんぼと羽とんぼを作ってもらった。じゅくが始まる前や、終わった後にいつも遊んでいる。学校の図工の時間でも作ったのだが、しょせんは子どもが作ったものだ。それほどうまくは飛ばない。
 だが先生が作ったのはよく飛ぶ。羽とんぼと、竹とんぼの両方だ。
 ちなみに竹とんぼはじくと羽がくっついていて、羽とんぼは、じくと羽が別々になっていて羽だけが飛ぶのだ。僕は羽とんぼの方が好きだ。先生いわく、「竹とんぼの名人」という人が作った竹とんぼもあるが、先生の方がうまい。
 なので、最近は竹とんぼをすることが多い。

   先生にもらった羽とんぼ          6年 

 先週の作文のとき、先生に羽とんぼをもらった。ぼくは竹とんぼはやったことがあるが羽とんぼをやったことがなかった。
 作文が終わった後、外に飛ばしに行った。飛ばしてみるとよく飛んだ。おもしろかった。
 今日も作文が始まる前に、みんなで飛ばした。だれがよく飛ぶかの競争をした一メートルを超えて飛ぶときと三〇センチメートルしか飛ばないときもあった。八、九回やって三回一位になった。来週もやりたいとおもった。
 今度は自分で竹とんぼを作りたい。


 竹とんぼ作りは、塾開設当初から始めていた。竹が手に入らなくなって途中途切れたこともあったが、竹鉄砲やパチンコなどとともに、塾での手作り遊びの主流と言ってもよかった。
 私の最初の本『学び創り遊ぶ』の中で次のような文章を書いたこともあった。再録して紹介してみたい。

   竹とんぼ作り、楽し

 五、六年生は、それぞれ作文の時間を使って”竹とんぼ “作りをした。竹は新座市(埼玉県新座市。清瀬とは境を接している)の農家を訪ねて、一本ゆずってもらった。
 子どもたちは学校で作ったことがあるらしいが、どの子も完成させるまでにはいかなかったらしい。
 手順を教えて作り始めたが、なかなかうまく削れない。何回も何回も失敗して、少しだけ私が仕上げを手伝って、それでも全員が完成させた。
 小雨降る中、さっそく外へ出て飛ばした。みんなよく飛んだ。飛ぶと嬉しいのだ。「ヤッタ!ヤッタ!」などと大騒ぎしながら飛行距離を競い合った。
 「昭和十年ごろ、子どもたちは…素材を求めて自然にわけ入り、竹の太さや木の枝ぶりを見て、それから道具を使って自分のものを作った。弓矢もあれば、水鉄砲もあり…竹とんぼ、虫かごなど小さな手は多くのモノを作りだした。…こういうことを通して自然へ近づく道をひらき、忍耐や工夫や危険を覚え、完成させる喜びを培った。…現在のように ”使い捨て文化  “に慣れモノを愛する心を失った生活におぼれこんでいると、人間関係のような大切なものさえ、平気で切り捨てることへ増幅してゆくだろう」(「手の文化」金子厚男、「中二国語」光村出版)
 一度かみしめてみたい文章である。自然と触れ合ったり、さまざまな手作りを楽しんだりすることは、単に「作文」のための素材探しではない。人間の心の豊かさを育てるという点でもまた、きわめて大切なことではないだろうか。 (『学び創り遊ぶ』八三ページ)

 今年の「あてのない遠足」は四月二九日(祝日)に決めたがこれは毎年行く。

 だから「あてのない遠足」の文章も何回も書いてきた。ここ三,四年は行く場所も決まっていて採れる山菜もシドケやヤマウド、セリなどとかなり限られてきているが、最初のころはどうだったのだろう。振り返ってみるとたとえば平成二年、小学館発行の教育雑誌こんな文章を書いている。


  あてのない遠足

 四月になると「あてのない遠足」をやる。この遠足、普通の遠足ではない。山菜や食べられる野草を求めて歩くのだ。あっちの林、こっちの沢、休耕田から川原まで、獲物を求めて歩き回る。セリ、フキ、コゴミ、ミツバ、ギボウシ、ヨメナなどだ。タラノメやヤマウドはめったに採れないが、結構楽しい。休耕田などでセリを摘んでいると、セリなどそっちのけでオタマジャクシを掬ったり、沢に下りて沢ガニをつかまえたりする子もいる。林の中で、山菜ならぬシュンランヲ沢山見つけたこともあった。
 「初めは沢山の草の中からセリを見つけるのは大変でした。摘んでいるうちにコツを覚えて子どものようにうれしくなってしまいました。体験学習のすばらしさを肌で感じました」「この日採った山菜が、祖父母の結婚記念日の食卓を飾り、翌日は我が家でおひたしとてんぷら、充分味わいました。」お母さんたちからの手紙。「食べられる草があっちにもこっちにもあるので、ぼくはびっくりした。ぼくは食べものがなくなってもだいじょうぶだ」と三年生の子どもは書いた。
 春だ、自然の中へ。今年も「あてのない遠足」に行こう。
                  (『総合教育技術』・四月号)


「あてのない遠足」は親にも好評だ

昨日は楽しい遠足をありがとうございました。家族全員、自然の中にどっぷり浸ることができた一日でした…ヤマウドを求めて土まみれ、どこまでも山に入る子どもたち、セリ摘みに夢中になる子どもたち、どの光景も土筆塾ならではのもの…と思う反面、そうじゃないんだ、しらけている指示待ち人間なんて言われている子どもたちだけれど、土屋先生のようなガキ大将親分(失礼―けっして口で言うだけでなく自分から夢中になっちゃう大人)がいれば、きっとどんな子だってあんな風に夢中になれちゃうんだという気もしました。実を言うとわが娘、長女が泥んこになってヤマウドを採ったりするなんて意外だったのです。机に向かって創作マンガに夢中になったり、脚本書きに時を忘れる姿はよくみるのですが、自然にどっぷり浸っている姿はあまり見たことがありません。友達や先生に刺激されて楽しめたのだと思います。
 夕食にはセリのお浸し、ミツバのたまごとじ…と山のプレゼントをたくさんいただいて身も心も大満足。ステキな企画ありがとうございました。そして頼りがいのある心優しいガキ大将先生に脱帽!

 親からはその都度何通もお手紙や感想をいただいた。参加者が年々減っているのは残念だが、親子で自然に浸るという経験として「あてのない遠足」をぜひ活用してほしいものだ。
  

  
 
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by tsukushi--juku | 2012-04-20 22:31 | Comments(0)