土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

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いわさきちひろ美術館をたづねて
    いわさきちひろ美術館を見学して 

 先日、機会があって「いわさきちひろ美術館」に出かけた。西武新宿線上井草だから比較的近いところなのに、行ったことがなかった。関心がなかったわけではない。いわさきちひろの絵は大好きだったし、本人との面識もあった。自宅には何度か行った事もあった。つい行きそびれて機会がなかったということになるだろうか。特に理由はない。
 いわさきちひろの絵は広く知られていて、どこかで目にしたことがあるという人は多いだろう。ちひろの絵が大好きという人も多い。
 今回ちひろ美術館に行ったのはいっしょに行こうという人がいて、この機会にと思い立ったのだ。
 ところで今日ここで書こうと思ったのは、いわさきちひろの絵のことではない。いわさきちひろにまつわるごくささやかな思い出についてだ。
 ご存知の方はそう多くはないかもしれないが、いわさきちひろの夫は日本共産党の前衆議院議員、松本善明さんだ。私は7年間共産党の衆議院議員の秘書をしていた関係で善明さん(私たちはそう呼んでいた)と何回か仕事をしたことがあり、そんなこともあって自宅に伺った事もあったわけだ。またいっしょに仕事をしていた折、ちひろさんが入院していた病院に見舞った事もあった。そのお礼ということであったのだろう、後にサイン入りの絵本「ことりのくるひ」をいただいた。この絵本が1973年ボローニア国際児童図書展のグラフィック賞を受賞した事などは、当時は全く知らなかった。
 笑顔の素敵な優しい方で、絵がそのまま人柄を表わしているんだなと思ったものだった。
 絵はくまなく観て回ったが、絵はもちろんだが私は、ちひろさんの歩み、善明さんとの出会い、結婚などなどに心を引かれた。それは今まで知らなかったことでもあったから余計ひきつけられたのかもしれない。善明さんが共産党の衆議院議員であり、共産党の幹部だったから、ちひろさんも共産党員だろうぐらいには思っていた。ところが何とちひろさんが共産党に入党したのは1946年という。終戦一年後だ。善明さんとの結婚が1950年だから結婚4年前ということになる。善明さんが書いた「妻ちひろの素顔」によれば、ちひろさんの入党は次のようになるらしい。

ちひろは長野県松本市で日本共産党に入党しました。東京中野で空襲にあって家を失なったちひろ一家は両親の郷里長野県に疎開していたのです。ちひろは入党した理由について私にこう話していました。「何て本当のことをいうんだろう」と思っていたというんです。当時長野で行われた日本共産党の演説会のことです。演説の内容は天皇の命令で行われた侵略戦争に反対し、主権在民を主張して奮闘した戦前の日本共産党の活動を中心としたものでした。戦前天皇の命令は絶対のものでしたから、「天皇も人間だ」とか民主主義だとか言えばもちろんのこと、平和を主張するだけで、死刑を含む厳罰に処せられたのです。そういう時代に平和と民主主義を主張して命がけで戦った日本共産党員は、戦後は驚きと尊敬の目を持って見られ、その主張は正に「本当のこと」、人間解放の主張として砂に水がしみとおるように受け入れられました。彼女はこのあと、史的唯物論、弁証法的唯物論など科学的社会主義の理論を勉強し、入党の決意をしました。入党したちひろは自分のできる事として演説会のポスターの絵などを一生懸命に描きました。……。

こうしてちひろさんは共産党の活動を通して、当時東大法学部を卒業し共産党国会議員団事務局に秘書として勤務し、地域の共産党支部の活動にも協力していた善明さんと知り会ったということになるらしい。
いわさきちひろさんの絵は広く知られ、多くの人に親しまれている。その画歴は「1950年文部大臣賞」、「1956年小学館児童文化賞」、「1961年サンケイ児童出版文化賞」、「1973年ボローニヤ国際児童図書展グラフィック賞」を含めて燦然とひかり輝いている。ちひろさんの絵は大人にも子どもにも広く親しまれ、よく知られている。だがちひろさんの歩みや、その人柄については、よく知られているとは決して言えないだろう。
「いわさきちひろ美術館」に行ったことを機に少し書いてみたくなった、この文章はそんなつもりで書いた。
 先に私は滝平二郎さんの死について書いたブログの中(土筆通信にも載せた)で、「画家にしても演劇・映画関係にしても、文化人にしても、いいお仕事をされている方に共産党員が多いということはよく耳にする。事実かどうか知らないが、何かわかるような気がする。」と書いた。いわさきちひろさんもその一人ということになるのだろう。(土筆通信NO1085号)

さて東京都議選最中。老骨に鞭打って自,公・民オール与党に痛撃をと頑張っている。
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by tsukushi--juku | 2009-07-06 20:52 | Comments(0)