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by tsukushi--juku
土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

またまた「やらせ」発覚
  世論操作は権力の常とう手段

夏休みは、例年、土筆通信は書かないことにしているが原発問題をめぐってこうと次々と問題が起こるとやはり黙っていられなくなる。
7月30日新聞テレビ等の報道によれば、経済産業省原子力安全・保安院が原発推進のための住民説明会で「やらせ」質問の工作をしていた明らかになったようだ。中部電力、四国電力などへ、保安院からの指示として「質問が反対一色にならないよう原発容認の立場からの質問を作成し、地元の方に質問していただくように」という内容の指示を出していたというのだ。さらに中部電力では社員、関連企業地元に動員をかけていたというし、四国電力では同社関連企業の社員、老人クラブなどの地域団体に質問、意見を要請し、15人中、10人は四国電力が依頼した人だったという。質問や意見については本人に例文を見せて内容了解のもとお願いしたという。
九州電力の「やらせメール」、福島第一原の情報誘導、そして今回の中部電力、四国電力、次々と不正な世論誘導・情報操作が明らかになってきた。おそらく他の電力会社についても同様なことがあるに違いない。徹底的に明らかにすべきだ。
原子力の安全・保安院が、経済産業省の一部機関というのもまさに癒着の構造そのものだが、その保安院が原発推進の旗を振り、不正な情報操作・世論誘導をしていたのだから、これは権力を担ってきた政府そのものが張本人であるということになる。
長いこと権力の座にあった自民党(公明党)の責任は極めて大きい、また民主党政権も原発依存から抜け出さないでいるという点で、その責任を逃れることはできない。
原発問題だけでなく権力は自らの政策(それが国民にとって容認できないものであっても)を押し通すためには常に情報操作・世論誘導を常とう手段としてきた。戦前の、戦争の苦しみをもたらした歴史をうんぬんするまでもなく、戦後の歴史の流れを見ただけでも明らかなことだ。
権力の情報操作,世論誘導に手を貸したという点では新聞、テレビ等マスコミにも大きな責任がある。原発問題一つ見ても、「原発安全神話」を形作るうえで、マスコミの果たした役割は決して軽くない。

 困難な時代の中で自らの生き方を見つめて

マスコミを多くの情報源としている国民は、何が真実であるかを見極めることが困難な状況におかれている。特に最近の政治情勢の混迷に戸惑い、どう判断していいか考えあぐねている。中には「誰が政権をとっても同じ」と見切りをつけ、それなら自分や家族の生活だけを考え、楽しく生きていくことだなどと「思考」を停止した生活を送っている人がいるようにも見える。新聞すら読もうとせず、情報はテレビやインターネットに頼っているという現状もあるようだ。それはそれでいい。だがニュース的情報はそれで十分だろうが、「深く」考え、自らの生き方を含めて、日本のこれから、子供や孫たちの未来にまで考えを及ぼす「思考」はこれだけで生まれてくるとは思えない。
こうした流れを喜ぶのは誰だろうか?権力者であることは間違いない。思いのままに政治を推し進めることができるからだ。その結果が何をもたらすか、戦前の歴史を思い起こすまでもない。その時になって、つまり目に見える形で自らに火の粉が降りかかるようになって嘆くのでは遅いのだ。
私はいつも少数派だった。70年近くの歩みの中で頑固に少数派を貫いて生きてきた。おそらくこれからもそうだろう。私はそれを後悔するつもりはない。むしろ誇りに思って毎日を生きている。それが子供や孫たちの未来に責任を持とうとする私の生き方であると信じているからだ。今、たとえ少数派であってもいい、やがて大河となって流れることを信じて、精一杯の発言をしたいと思っている。(土筆通信1164号の一部にするつもりで)
 
by tsukushi--juku | 2011-07-30 13:16