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by tsukushi--juku
土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

お茶目なÅ君
 お茶目なA君

 金曜日、6年生の算数の時間だった。早めにやってきたあきら君がニコニコして教室に入ってきた。「先生、いいことしよう」。取り出したのは唐辛子4個。たかの爪唐辛子というのだろうか?辛いヤツだ。3個は真っ赤だが1個はまだ青い。「これさぁ、皆に食べさせるゲームをしよう。じゃんけんで負けた人が食う。先生を入れると5人だから、勝った1人だけは食わなくていい」
 私は早速賛成した。
さて全員がそろった。ルールを説明すると「私、からいの、苦手!やだぁ」という子もいたがやることになった。「口直しにみかん、上げる」そういって私は5個のみかんを用意した。
「最初はグー、じゃんけんポイ!」一番先に負けたのは私だった。次々負けが決まって唐辛子がわたった。私はまだ熟していない青いのをとってまず口に入れた。ウーンからい、口の中がひりひりと焼けるみたいだ。だが知らん顔をした。ニヤニヤしながらみんなの食べるのを待った。みかんの皮をむいていつでも食べられる用意をした子どもたちが、真っ赤な唐辛子を口に入れた。「うっー」「からイ!」。あわててみかんを口に放りこむ子、洗面所に走る子。しばらく大騒ぎになった。じゃんけんに勝って、唐辛子を食べなかった子もみかんに釣られて食べた。5人全員、あきらくんの持ってきた唐辛子の洗礼を受けた。愉快な、愉快な時間になった。
「眺めるだけでは、木や草とは語れない。触る。木登りをする。木の声に耳を澄ます。においをかぐ、食べる、葉や花や木の実で遊ぶ。木と語るには、五官をはたらかせることだ。」天声人語『木に聞け』の一節だ。
 私は毎年のようにフキノトウを手に入れて、子どもたちをだまして食べさせ、フキノトウの苦さを体験させた。
 さて唐辛子を持ってきたあきら君。国語の時間にこんな作文を書いている。

  野菜がいっぱい
                  六年 A・Y
八月二七日、ミニトマト五個、小さいナス二個、唐辛子七個、大きすぎるキュウリと、形の悪いキュウリが合わせて八本、家で育てている四種類の野菜が取れたので、全部土筆に持っていった。ほとんど形の悪いものばかりだが、それなのに先生は大喜びして「さっそく今晩いただこう」とか言っちゃって・・・
 去年より種類が減ったが、収穫は増えた。育てるのは少しにしたほうがいいのかなぁと、たまに思う。けれど、もう一種類育てたいなぁとも思う。でも、夏はもうすぐ終わりだしキュウリとミニトマトが成長しすぎてジャングルのようになっていて、植えるスペースもない。考えてもけっきょく来年まで待つしかないと思った。
 家庭菜園を始めたのは三年生のときだ。それから三年たった。毎年育ててきたが、なかなかうまく育てられない。でも新鮮なだけは確かで、味はまずまずだろう。先生が喜んでくれるのだから満足しよう。

さてA君、来年も野菜作りやるだろうか。そして今度はどんな楽しみを用意してくれるだろうか。

(土筆通信NO・1104号の一部)
by tsukushi--juku | 2009-12-23 16:48