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by tsukushi--juku
土筆塾主宰・土屋春雄のブログ

本を読まない子が多い
本を読まない子が多い

 5月27日朝日新聞に、気になる記事があった。『本を読む親の子どもは優秀』という見出しの記事で、記事の書き出し部分は次のようになる。「『成績上位の子どもの保護者は本をよく読む』『下位の子の親が好むのはテレビのワイドシヨー』お茶の水女子大とベネッセ教育開発センターが共同で調査したところ、親をハッとさせるこんな結果が出た」というのだ。私などは別に調査したわけではないが日ごろからそれを感じてきた。
子ども達と触れていると、本を読まない子がめだつ。小学低・中学年生までは結構読んでいるようだが、学年があがるにつれて読まなくなり、中学になると読まない子が増える。学校で夏休みなどの宿題で「読書」でもない限り、年に一冊も読まないという子さえいる。子ども達が触れているのはテレビゲームやケイタイが多い。ケイタイなどは月の使用料が1万円・2万円、いやそれ以上ということになるらしい。わたしなどは、ケイタイは今年の誕生日に娘たちがプレゼントしてくれたがまだ使いこなせないほどで、せいぜい電話と、送られてきたメールを見るくらいで、どんな使われ方があるのか分からないほどだが、1万円も2万円もそれ以上もというと、どんな使われ方をしているのだろうと驚いてしまう。テレビゲームやケイタイ使用が子どもの日常生活の常態だといえなくもない。これでは本(マンガや雑誌を除く)などとても読めないだろう。
子どもたちにできるだけ本を読む機会を与えようと、日ごろから授業で心がけているが小学生でも6・7ページの作品になると「これ長いよー」という声がとびだすし、中学生になると作品を読み始めると眠ってしまう子さえいる。
最近こんなことがあった。中学2年生だが中間テスト範囲の作品を、自分で一度も読んでいないというのだ。学校で読んだのかと尋ねると、CDの朗読を聴かされたという。先生の朗読もないというのだ。だから試験範囲であるにもかかわらず、内容をほとんど知らない。理解する以前の問題なのだ。これではテストでいい点が取れるわけはないと思うのだ。
もちろん、新聞もテレビ欄やスポーツ欄は別として、読まない子がほとんどだし、私が子どもに手渡している土筆通信さえ、たまにとか時々とか子どもの作文だけとかで、私の書いた記事などは、「読んでいる」子は数えるほどだ。とにかく活字に触れる子が少ないのだ。これが学力にどう影響しているかは改めて言う必要もないだろう。評論家なら現実を指摘し、あれこれ論評することですむだろうが、日々子どもと接し何とかしょうと実践している人間にとっては苦労の種なのだ。
ところで朝日新聞の記事のように親はどうだろう。これも調べたわけではない。子どもの話を少しだけ聞くだけだから全くの想像ということになるだろうが、本を読まない親も結構いるように思えてならない。新聞の政治記事や『社説』や論説的な記事はあまり読まれていないのではないか。私は子供に(特に中学生には)新聞を読む事を勧めるが「新聞とっていないよ」という子に何人もぶつかる。色々事情もあるだろうからなんともいえないが、親の中にも活字離れが進行し、「あまり本を読まない」という方がいらっしゃるのではないだろうか。せめて土筆通信は読んでもらいたいと思うが、それさえも子どものカバンに何部も何部もたまっているのを見ると、ガッカリしてしまうのだ。朝日新聞のこの記事ではないが親の読書傾向は、その生活態度を含めて間違いなく子どもに反映する。親の子どもへの語りかけが「勉強しなさい」「……しなさい」と言った命令や号令だけでは、子どもの心には響かないのだ。子どもは親を見て育っているのだから。
朝日新聞のこの記事にある共同調査に参加したお茶の水女子大の浜野隆氏は「『本を読む』『読み聞かせをする』などは家庭の文化といえる。文章に接する機会が多くなれば読解力が高まる」と分析しているようだ。家庭にどんな知的・文化的環境があるか、ということは間違いなく子どもの成長に大きな影響を与える。
学力の問題だけではない。親が子どもにどんな環境を用意するかは、子どもの成長にとってあいまいにはできないことなのだと私は思う。
思いつくままに書いた。失礼があったらお許し願いたい。
                                      「土筆通信NO1082号」より
by tsukushi--juku | 2009-05-31 20:53